2022.07.11
マネジメントレイヤーへの昇格がありましたが、自身のスキル経験が伸長しないのではと心配しています。
大手WEBサービスで機械学習エンジニアとして5年目のものです。
会社より若手育成のためにマネジメント層への打診をされましたが、自分は手を動かすことが好きなので、技術力がなくなってしまうのではと懸念しています。
マネジメントの方向か、専門職の方向に行くべきか、何か判断基準はありますでしょうか。
- 業界:IT・インターネット・通信
- 職種:IT技術職
- 役職:現場・リーダー
相談者さまと同じようなお悩みをお伺いすることは多いです。
エンジニア、特に動きが活発でアップデートが多いフィールドでは、手を動かして自分の好きな分野でスキルを伸ばしたいと思うのは自然な流れです。
一方で組織に属して、成果を出していくと、どうしてもマネジメントへの道が目の前に出てきます。
キャリアアップというと、自然とマネジメントになってくると言っても過言ではありません。マネージャーの仕事を見ていても、人のこと、チームのこと、会社全体のこと、そんなことに気持ちと時間を割いていて、技術のアップデートに思いっきり時間を割けていないように見えます。
そんなマネージャーになっても給与こそ上がっても、どこか満足が得られなさそうという気持ちはよく分かります。
そんな人のためにプロフェッショナル職(専門職)のラインも用意されている会社もあります。
一般的にマネジメント職の方がプロフェッショナル職よりも給与面では優遇されることが多いようです。
相談者さまも手を動かすことを好まれるとのことなので、プロフェッショナル職と迷われるのは無理もないことです。
マネジメント職か、専門職か、悩む際に気をつけないといけないのは、情報の量が違うという点だと思います。
専門職はある程度見えているが、マネジメント職は実はあまり見えていないということがあるようです。
実際、私が関わった方も、実際にマネジメントをやってみると本当に面白いと感じた。やるまで分からなかった。という話を聞くことが少なくありません。
これは、マネジメント職は部下の立場としてみるのと、実際にやってみるのとでは、かなり違って感じるという特徴があると思います。
どんな力が身につくのか?その点も分かり難いようです。そこでここではバランスさせるために、敢えてマネジメント職につくことでどんなメリットがあるのか?に偏って触れたいと思います。細かく挙げるとキリがないので5つだけ挙げてみます。
1、チームで出す成果は個人のそれより大きい
ひとりでやれないこともチームをマネージして成し遂げることができるのが一番の魅力だと思います。規模の大きさに魅力を感じる方にはチームでの成果は不可欠になります。
2、チーム全体の知見が溜まっていく(早く多くの知見が溜まる)
実は一人で専門職としてやる場合より、ノウハウが溜まりやすい傾向があります。5名のメンバーがいるとして、メンバーがそれぞれ扱う案件に関しての知見が溜まっていきます。転職の際も、部下が手を動かした案件も自分の案件として語れます。
3、人の育成の楽しさに気付く
人の育成というのは短期的な視点ではなく、少し長期視点でみる必要があります。わかってもらえなくて苦しかったが、2年経って、あの時指導してもらって本当によかった、と言われる、そんな時に大きな喜びを感じることがあります。あと、こればかりは想像していても分からず、実際にやってみないと分かりません。意外と向いていたという人が多いと感じていますし、育成にて得られる喜びは想像していたより大きかったという話も聞きます。
4、マネージャー視点が得られる
これからは一人で完結するようなプロジェクトはどんどん少なくなっていくと思います。大規模化してチームとして連携して成し遂げていくことが増えていきます。そうなると、マネージャーを経験したことがある人とそうでない人では、動き方に差が出てきます。どうしてもマネージャーを経験した人の方が視座が高まると言えると思います。
5、情報が入りやすくなる
社内に限定した話ではなく、さまざまな情報が集まってくる傾向があります。それは使える予算にも関係しているように感じます。そして情報を持っているかどうかがとても大きな差を生むことになります。
いかがでしょうか。やってみないと分からない、実際に自分の目線から眺めているだけでは見えない部分がありそうだという点はご理解いただけたのではないでしょうか?
その上で、実際にマネジメント層の方がご自身のエンジニアスキル維持のためにされている努力として、勉強会の開催を頻繁に聞きます。ご自身が主催者を務めて、社内に閉じず広く勉強会を実施して、採用活動の一環としても活用されている方もおられます。マネジメントになるとスキルのアップデートが本当にできなくなるのか?は再度考えてみる必要がありそうです。
一般的なお話に終始しましたが、個別のご事情があると思います。
我々コンサルタントは、お話しを丁寧に聴き、整理してもらったり、気付きを得てもらいたいと思っています。一度ご相談いただければと思います。