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デジタル転職Q&A

2025.11.10

広告代理店で戦略を提案していますが、実行フェーズは他社任せで成果が見えません。戦略から実行まで一貫して関わり、事業の当事者として成果を出せる環境はあるのでしょうか?

現在、中堅の広告代理店で戦略プランナーとして働いています。
クライアントの課題をヒアリングし、デジタルマーケティングの戦略を提案する仕事なのですが、提案が通った後は別の部署や協力会社に実行を任せてしまい、自分は次のクライアントの提案準備に追われています。

 

「あの提案、その後どうなったんだろう?」と思っても、結果を知る機会がほとんどありません。
PDCAを回すどころか、Pだけで終わってしまう感覚です。
もっと戦略を自分の手で実行し、数字に向き合いながら改善を重ねる経験を積みたいと強く思っています。

 

事業会社への転職も考えていますが、事業会社のマーケティング部門は代理店に外注することが多いと聞きます。
戦略立案から実行、効果検証まで一気通貫で担当できる環境で、事業の当事者として成果にコミットできる企業はあるのでしょうか?
また、代理店出身者がそのような環境で活躍できるのでしょうか?

ご相談いただきありがとうございます。
結論から申し上げますと、ご希望に近い環境は少ないながらもございます。

マーケティングを「インハウス」で行う事業会社があり、代理店やコンサルでは得られない、事業推進の当事者としての確かな経験を積むことができます。

なぜ代理店・コンサルでは「実行」まで関われないのか
今回ご質問いただいているような課題は、広告代理店やコンサルティングファームで働く多くの方が共通して抱えるもののひとつと言えます。
その根本的な理由は、職種の定義と組織構造にあります。

代理店やコンサルは「専門職」として存在しています。
つまり、ひとことで申すならばコンサルタントは「コンサルティング」という職種、代理店のプランナーは「プランニング」という職種であり、その専門性の範囲内で価値を提供することが求められます。

そのため、支援会社として取り組む場合の多くは戦略立案までは関われても、実際の予算執行や運用、効果検証、改善といった実行フェーズは、クライアント企業や別のパートナー企業に委ねられるケースが一般的です。
また、多くの代理店では組織が縦割りになっており、戦略部門、クリエイティブ部門、メディアバイイング部門などが分断されていることもその要因と言えるでしょう。

このため、たとえ同じ会社内であっても、ひとりのプランナーが戦略から実行まで一貫して担当することは構造的に難しいのが実情なのです。

この構造では、PDCAの「P(Plan)」だけを繰り返す状況に陥りやすく、「自分が提案した戦略が本当に機能したのか」「どこを改善すればもっと成果が出たのか」という学びを得る機会がある程度限られてしまうことになります。

事業会社でも「外注型」と「インハウス型」で大きく異なる
ご指摘のとおり、事業会社に転職しても、マーケティング機能を代理店に外注している企業は数多く存在します。
こうした企業では、社内のマーケティング担当者は「代理店のディレクション」が主な業務となり、結局のところ実行は外部任せという状況は変わりません。

しかし、一部の成長企業では「インハウス型マーケティング」を徹底し、戦略立案から広告運用、クリエイティブ制作、データ分析、プロダクト開発まで、すべてを自社で行う体制を構築しています。
こうした企業では、マーケターが事業の当事者として、予算の策定から実行、効果測定、改善まで一貫して担当することになるのです。

自身にとってインハウス型であるメリットは大きく3つあります。
①圧倒的なスピード感
代理店を経由せず、社内で直接意思決定と実行ができるため、PDCAサイクルを非常に速く回すことができます。
市場の変化や顧客の反応に即座に対応できることは、事業成長において決定的な優位性となります。

②事業の根幹に関わる経験が積める
単なる施策の実行者ではなく、「どこに予算を投下すべきか」「このプロダクトをどう改善すべきか」といった、事業の成否を左右する意思決定に直接関与できます。

③緻密なデータ連携による本質的な意思決定が可能
自社のデータベースにフルアクセスできるため、顧客の行動データ、売上データ、その他の組織の内部データなどを統合的に分析し、表面的ではない事業の当事者としての深い洞察に基づいた戦略の立案が可能です。

ただしここで忘れてはならないことがあります。
それは上記①~③において、参画した企業の事業成長のために、そして何より自身の確かなビジネススキルの獲得のためにどんな基本的なことでも泥臭く、そして意欲的に取り組むという熱いモチベーションを有しているということの一点です。

この熱量の違いは同じビジネス環境であっても決定的な違いを生むとお考え下さい。

レバレジーズという選択肢
せっかくでございますのでここで具体的な事例として、レバレジーズ株式会社をご紹介します。
同社は2005年創業、IT人材サービス「レバテック」や看護師転職サービス「看護のお仕事」など50以上の事業を展開し、2024年度には年商1,428億円に達した急成長企業です。

レバレジーズ社のマーケティング部門は、国内でも最大級のインハウス組織として知られています。注目すべきは、その組織の機能の広さです。
同社のマーケティング部門は、一般的な「広告運用」に留まらず、以下のすべてを内製化しています。

まず、広告・プロモーション領域では、数百億円規模の広告費を自社で運用しています。
この規模は、日本の広告宣伝費ランキングでもトップ20〜30に入る水準であり、大手消費財メーカーを上回る規模です。
マーケティング部/渋谷/マーケ/広告運用担当者

次に、プロダクト開発領域では、Webサイトやアプリの企画・設計から、UI/UX改善、SEO、CROまで、プロダクトに関わるすべてをマーケティング部門が担当しています。
「この機能を追加すれば、コンバージョン率が上がるのではないか」というアイデアを、自分たちで実装し、検証できる環境です。
マーケティング部/渋谷/マーケ/プロダクトマネージャー

さらに、データ分析・AI活用領域では、専門のデータ戦略室とAI推進室があり、技術力も高く評価されています。
マーケティング部/渋谷/マーケ/データサイエンティスト

加えて、CRM領域では、顧客ID管理、メール・LINE・電話でのコミュニケーション最適化を担当しており、Adobe Journey Optimizerなど最新のCRMツールを活用した施策を展開しています。
マーケティング部/渋谷/マーケ/CRMスペシャリスト

そして、事業開発領域では、新規事業の立ち上げやM&A先の事業成長戦略もマーケティング部門が主導しています。同社は毎年10〜20の新規事業を立ち上げており、マーケティング部門がその起点となるケースが非常に多いのです。

このように、レバレジーズ社では「マーケティング=広告」ではなく、「マーケティング=事業成長のすべて」という考え方が浸透しています。

また、レバレジーズ社では「7:2:1の法則」という人材育成の考え方を重視しています。
これは、人の成長の70%は実際の職務経験から、20%は他者との関わりから、10%は研修から得られるという考え方です。

つまり、座学で学ぶよりも、実際に難易度の高い仕事を担当し、試行錯誤する中でこそ、本当の成長が得られるのです。

一方で、一般的に「インハウス型マーケティング」の組織ではその対応領域の広さからどうしてもマーケティング組織の大型化とそれぞれの領域の専門化がどうしても避けられない要素と言えます。
そういった中で自身のスキルが一定の専門領域に閉じてしまわないかといったご相談をいただくことがあるのもまた事実です。

こういったことへの対応として、レバレジーズ社では自身の担当領域や所属部署の変更希望に関して【自ら手を挙げる】【社内スカウト制度を受ける】【社内公募制度を活用する】といったさまざまな制度が設けられており、自身の中長期のキャリアデザイン構築の支援を受けることが可能です。

今回いただいたご質問のように「戦略だけでなく、実行まで一貫して関わりたい」という明確な想いをお持ちの方にとって、代理店やコンサルで培ったスキルは決して無駄にはなりません。
むしろ、再現性の高いその広く、さまざまな経験とスキルをインハウスマーケターとして発揮することで、事業推進の当事者として圧倒的な成果を生み出すことができるかもしれないのです。

ウィンスリーでは、レバレジーズ社をはじめとするインハウスマーケティングに強みを持つ企業との豊富な取引実績があります。
どの企業がどのようなインハウス体制を構築しているのか、実際に代理店出身者がどのように活躍しているのか、選考ではどのようなポイントをアピールすべきかなど、個別の状況に応じたアドバイスもさせていただきます。
ぜひお気軽にご相談ください。

※ご紹介している求人は2025年11月時点の募集求人です。時間経過と共にクローズになってしまうこともございますので、ご了承ください。
最新情報につきましてはお問合せください。

回答者
T.K(シニアコンサルタント)