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デジタル転職Q&A

2022.09.07

SaaS系の企業へ転職を検討していますが、かなり数があります。どういったポイントで転職先を検討すべきでしょうか?

Web広告代理店にて法人営業に3年ほど従事。自社SaaSプロダクトの販売をしており、現在はマネージャーもしています。

SaaS系のビジネスは同様のツールは多く、比較的導入も簡単で競合もとても多いと思います。
そのため、規模が大きくない企業だといかに売り上げを落とさないかが重要な目標になってしまい、新しいものを作り出すことができない=売上もなかなか上がってこないのではと思っています。

転職の目的がスキルアップをしていくことなので、どういったポイントで企業を選んでいくべきかアドバイス頂けますと幸いです。

ある調査では2030年までのグローバルでの年平均成長率が約19%のペースで伸びていくと予測されており、世界的に将来性を有望視されているSaaS市場ですが、日本でも同様にSaaS市場の伸びは顕著だと言えます。
現状のSaaSの普及率は世界では24%程度、日本ではまだ8%程度となっているので、日本においてもまだまだ伸びしろのあるマーケットという事になりそうですが、ここまではあくまでも大局の話となります。

例えばデジタル広告レポーティング用のSaaSプロダクトについてですが、プロダクト自体の開発にはそれほど難しい技術を必要としないため参入障壁が比較的低いことから、既に多くのプロダクト(そして多くのプレーヤー)がひしめき合っている上に、市場としては飽和状態に近いので、自ずと限られたパイの奪い合いとなりいかにシェアを落とさないかという闘いになってきてしまいます。

また大手企業はレポーティングツールを自前で開発してしまうケースがある事からサービスの主な対象となるのは中小企業となるため料金設定もそれに合わせざるを得ず、シェア確保やリプレイス防止のために割引などもせざるを得ない場合もあるため、収益構造のバランスがとりにくくなってしまう状況に陥ってしまう事もあります。

さらにリソースに余裕のない組織となりますとプロダクトの運用や保守などランニングに関わる足元の部分で工数が一杯となってしまい、プロダクトの新規機能拡張のための追加開発に手が回らないだけではなく、未来のために隣接するニーズおよび市場に向けた新しいビジネスを興していく余裕も確保できない状態となり、結果的に1つのプロダクトをランニングさせるだけに終始し、事業や組織の存続が難しくなってしまうケースもあり得ます。

上記は例として少し極端に表現している部分もありますし、全てのSaaS企業がそんな状態になっているという事では無いのでその部分は誤解しないでいただきたいのですが、もしかしますと相談者様も目の当たりにしたり実感されたりしている事も含まれているかもしれませんが、いかがでしょうか。

これまでの市場やビジネスに対して、ITの力で新しいスタイルや考え方やバリューをもたらしイノベーションにつなげていく事ができるSaaS領域は、未来のキャリアのアドバンテージを確保していくための経験やスキルを積んでいくには良い環境のひとつと言えるとは個人的には思っていますが、SaaS市場が堅調だからという大局観から醸し出されるムードや雰囲気だけで安直に捉えるのではなく、それぞれの領域やそれぞれの企業の状態や状況、そして未来をしっかりと見極めたうえで検討・判断をされた方が良いと思っています。

スキルアップを目的としているとの事ですのでその定義次第ではありますが、これまでの経験・スキルを活かしつつ、SaaS領域で未来のキャリアのアドバンテージを確保していくための会話やディスカッションは喜んでさせていただきますのでお気軽にご相談ください。

回答者
瀧島一郎(キャリアコンサルタント(国家資格))