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2026.05.20

【2026年アクセンチュア特集 第1回】「Reinvention Services」とは何か――2025年の統合から2026年の本格稼働まで、歴史的な組織再編を読み解く

はじめに――

「アクセンチュアに転職したいのですが、正直どんな会社なのかよくわからなくて……」

マーケターやデジタル人材からのこうした相談が、2025年以降、ウィンスリーに急増しています。その理由の一つが、アクセンチュアが断行した大規模な組織再編「Reinvention Services」です。

2025年9月に5つのサービスラインが統合されたことに続き、2026年に入ってさらに体制が進化しました。1月のFaculty社買収によるCTO交代、2月のSong内部のAI評価制度導入、3月の7つの「Reinvention Partners」への再編など、矢継ぎ早に変化が起きています。

ウィンスリーはアクセンチュアへの転職支援実績が国内トップクラスであり、現場のコンサルタントや人事とのリレーションを通じて、公開情報だけでは見えない実態も把握しています。この連載では3回にわたり、「アクセンチュア Reinvention とは何か」「日本のマーケター・クリエイター・データ人材にとって何が変わったか」「実際にどんな人材が求められているか」を徹底解説します。

第1回は、2025年から2026年にかけた体制変化の全体像を理解するための「地図」を描きます。

フェーズ1:2025年9月の大統合――5つのラインが一つへ

AI時代における「統合」の必然

アクセンチュアは2025年6月20日、成長モデルの変更と新しいリーダーシップを発表しました(出所:Accenture newsroom, June 20, 2025)。変更は同年9月1日に発効しています。

発表の背景には、一つの明確な時代認識がありました。

「今日、クライアントはより速く、より多くの価値を必要としている」——CEO ジュリー・スウィート(Julie Sweet)はこう表現しました。AIの急速な普及が、クライアント企業の「変革のスピード」に対する要求を劇的に高めているのです。

従来のアクセンチュアは、ビジネスコンサルティング(S&C)、IndustryX、Song、テクノロジー(Technology)、オペレーションズ(Operations)という5つのサービスラインを持ちながら、それぞれが比較的独立した組織として動いていました。この縦割り構造では、「データとAIを全サービスに素早く埋め込む」というAI時代の命題に応えられないと判断したのです。

2025年9月1日に何が起きたか

2025年9月1日、以下の変化が同時に発生しました。

組織面: S&C・IndustryX・Song・Technology・Operations の5ラインが「Reinvention Services」という単一の統合ビジネスユニットに集約。

リーダーシップ面:

  • Manish Sharma(前Americas CEO)が Reinvention Services を率いる「Chief Services Officer」に就任(のちに2026年3月に「Chief Strategy and Services Officer」に肩書変更)
  • Ndidi Otehが Accenture Song の新 CEO に就任(前任の David Droga は Vice Chair へ)
  • Rajendra Prasad がグループCEO of Technology 兼 CTO に昇格(Karthik Narain は退社)
  • John Walsh が Americas CEO に就任(Sharma の後任)

内部文化面: 全社員が「Reinventors(リインベンターズ)」と呼ばれる体制へ。社内HRプラットフォームでも「workers」ではなく「reinventors」という表記に変更されたとFinancial Times が報じています(出所:American Bazaar Online, December 1, 2025)。

図1 ─ 2025年9月(フェーズ1)から2026年3月(フェーズ2)への体制変化

フェーズ2:2026年の本格進化――3つの大きな変化

2026年に入り、Reinvention Services はさらに具体的な形をとり始めました。特に重要な変化が3つあります。

変化①:Faculty買収によるCTO刷新(2026年1月〜3月)

2026年1月6日、アクセンチュアは英国のAIスタートアップ「Faculty」の買収を発表しました(出所:Accenture newsroom, January 6, 2026)。Faculty は2014年創業の応用AI企業で、英国国防省・NHS・OpenAI などを主要クライアントに持ちます。

最大の注目点は、Faculty CEO の Dr. Marc Warner がアクセンチュアのCTO(最高技術責任者)に就任したことです。従業員400名規模のスタートアップのトップが、約784,000名を擁するグローバル大企業のCTOポストに就いたこと自体、アクセンチュアがいかに本気でAI技術の深化を優先しているかを示しています。

2026年3月16日に買収が完了し、Warner 氏はグローバルマネジメントコミッティにも加わりました(出所:Accenture newsroom, March 16, 2026)。

Faculty が持ち込んだ資産も重要です。「Faculty Frontier」という意思決定インテリジェンスプロダクトは、データ・AIモデル・ビジネスプロセスを統合したシステムで、アクセンチュアのプロダクトスイートに組み込まれています。

これにより、旧CTOの Rajendra Prasad は「Group Chief Executive – Technology」(テクノロジー担当グループCEO)の役割に専念する形となりました。

Faculty買収タイムラインとCTOリーダーシップ変化 2026年1月〜3月

図2 ─ Faculty買収の経緯とCTOポジションの変化

変化②:Song でのAI昇進連動制度(2026年2月)

2026年2月、Accenture Song がスタッフの昇進をAI活用度に連動させる新制度を導入したことが報じられました(出所:Campaign Live, February 24, 2026)。

これは単なる社内制度の変更ではありません。「AI を使いこなすことが、プロフェッショナルとして前進する条件」という明確なメッセージです。転職市場においても、アクセンチュアが求める人材像の変化を端的に示しています。

また同月、Song は2024年4月に買収した「Unlimited」ブランドを廃止しました。「TMW」ブランドは存続し、以前は別々だった「Nelson Bostock」と「Sport Unlimited」の各エージェンシーを統合する形になります(出所:Campaign Live, February 24, 2026)。

変化③:Reinvention Services の7 Partners 体制への再編(2026年3月)

2026年3月13日、アクセンチュアは Reinvention Services の詳細な新設計を発表しました(出所:Accenture newsroom, March 13, 2026)。これは2025年9月の「統合」をさらに具体化したものです。変更は2026年3月31日に発効。

Manish Sharma の肩書が「Chief Services Officer」から「Chief Strategy and Services Officer」に変更されました。これは単なる名称変更ではなく、彼の役割がサービス提供だけでなくアクセンチュア全体の戦略立案にまで広がったことを示しています。

新設計のポイントは、Reinvention Services を「7つの Reinvention Partners」と「3つの Reinvention Engines」がマトリクス状に連携する構造に整理したことです。Reinvention Partners はクライアントの事業領域ごとに変革を担い、Reinvention Engines はその全パートナーを横断的に支援する基盤組織として機能します。さらに横断組織「Client Success」がクライアント視点を一貫して守る役割を担います。

Reinvention Partners ── 7つの「変革パートナー」(2026年3月31日発効)

アクセンチュアはサービスを「クライアントがどのようにビジネスを運営しているか」という視点から再設計しました。7つの Reinvention Partners を紹介します。

リインベンション サービスの体系 7つのPartnerと3つのEngineのマトリクス構造図 2026年3月31日発効

図3 ─ Reinvention Services 全体構造(Partners × Engines マトリクス)/ 2026年3月31日発効

1. Cybersecurity(サイバーセキュリティ)

AIの活用が広がるなかで高まるサイバーリスクに対応し、企業の防衛・リスク管理・新興技術の安全活用を支援します。

2. Digital Core(デジタルコア)

テクノロジー戦略・アーキテクチャ設計、データとAI、アプリケーション近代化・管理、インフラ・クラウドを統合し、企業のデジタル基盤を再構築します。

3. Finance(ファイナンス)

CFOアジェンダを支援し、財務パフォーマンス最適化・全社横断インサイト・ベンチマーキングを提供。グローバルケイパビリティセンター(GCC)構築支援も担当。

4. Industry and Enterprise(インダストリー&エンタープライズ)

各産業のコアバリューチェーンを再発明し、クロスファンクショナルな変革で成長と長期価値を創出します。

5. Song(ソング)

マーケター・クリエイター・CX人材にとって最重要の部門です。 顧客主導の成長戦略実現のために、マーケティング戦略・セールス・サービス・コマース・デザイン・デジタルプロダクト・データ&AIを統合的に提供します。

6. Supply Chain and Engineering(サプライチェーン&エンジニアリング)

製品・資産のライフサイクル全体にAIとデジタル技術を活用し、競争優位を構築します。

7. Talent(タレント)

リーダーシップ開発・タレントマネジメント・オペレーションモデル変革・チェンジマネジメントを通じて、クライアントの人材アジェンダを加速します。

Reinvention Engines ── アクセンチュア自身を再発明する3エンジン

Reinvention Engines は、アクセンチュア自身が能力を磨く内部組織であり、上記7つの Reinvention Partners すべてを横断的に支援します。特定のクライアント領域に紐づく Partners とは異なり、AI・技術・業界プロセスの専門知識を全社に供給するプラットフォームとして機能します。

1. AI and Data(AI&データ)

AIとデータの能力をグローバルにスケールアップし、Center for Advanced AI を拠点に最先端手法を開発。Faculty の買収・Marc Warner の CTO就任がこのエンジンをさらに強化します。

2. Industry and Process(インダストリー&プロセス)

業界・プロセスの専門知識を深化させ、AI対応のERP手法や独自変革手法「ART(Accenture Reinvention Transformation)」などを開発。Intelligent Operations Centers と Global Network Centers が基盤。

3. Technology(テクノロジー)

最先端テクノロジー能力を構築・スケールアップ。Faculty買収後、Warner がCTOとして加わったことで、Prasad は Technology Reinvention Engine のリードに専念する形へ。

Client Success ── クライアント視点を守る横断組織

Reinvention Partners・Reinvention Engines に加え、クライアントとの関係全体を管理する横断組織「Client Success」が設けられています。Partners や Engines と並行して機能し、クライアントの視点と成果責任を一貫して担います。

  • Commercial(Chief Commercial Officer: Shaheen Sayed): クライアントに本当に必要なものを売る、全社の力を案件に持ち込む機能
  • Offerings and Products(Senthil Ramani): 差別化されたオファリング・プロダクト開発を監督
  • Integrated Delivery Governance and Quality(David Golding): グローバルデリバリーを通じたクライアントアウトカムの実現と品質強化

ウィンスリーから見た2025〜2026体制変化の本質

「スピードの競争」が本格化した

2025年9月の統合は「一つになる」ための変革でしたが、2026年3月の再編は「より速く、より深く変革を届ける」ための精緻化です。7つの Reinvention Partners がクライアントの経営課題に沿って整理されたことで、どのビジネス問題にどのアクセンチュアの機能が対応するかが、以前より格段に明確になりました。

AI能力がリーダーシップの条件になった

Marc Warner のCTO就任は象徴的です。スタートアップ出身の「AIネイティブ」な人物が、コンサルティングファームの技術戦略を主導する時代が来ました。内部でも昇進がAI活用度に連動するようになり、「AIを使いこなすかどうか」が組織内でのポジション取りに直結しています。

Song がさらに「エンタープライズの中枢」へ

Unlimited ブランドの廃止は、Song が純粋なエージェンシービジネスの側面をさらに削ぎ落として、エンタープライズ変革のプラットフォームとしての役割に純化していく方向性を示しています。

第1回のまとめ

アクセンチュアの「Reinvention Services」は2フェーズで進化してきました。2025年9月の5ライン統合(フェーズ1)に続き、2026年に入ってFaculty買収によるCTO刷新・AI昇進連動制度・7 Partners への詳細再編(フェーズ2)が立て続けに実施されました。

次回(第2回)は、この連載で最も注目度の高いテーマ「Accenture Song の変貌」に焦点を当てます。Droga → Oteh へのリーダーシップ交代、Song が「広告の上流」に移動したとはどういうことか、2026年に加速するAI化の実態と、日本のマーケター・クリエイターへの影響を深掘りします。

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執筆者

宮崎洋

宮崎 洋(みやざき ひろし)|株式会社ウィンスリー コンサルタント

外資系医療機器メーカーで営業・マーケティング・経営企画・デジタル戦略と幅広い業務に従事。

医師に英会話を教える中で、悩みに耳を傾けフィードバックすることで深く感謝される体験をし、コーチングに目覚める。「人」への関心の強さを活かし、現在はプロコーチとしての活動と並行して、コンサル・デジタル分野を中心とした人材エージェントとしても活躍中。

アクセンチュアをはじめとした大手・外資系ファームへの支援実績多数。

宮崎 洋のプロフィールを見る

※本コラムはマーケティング&DX専門人材会社ウィンスリーの独自の見解に基づき執筆され一部画像も独自に作成したものです。該当企業の公式見解とは異なり、本コラムの責務はすべてウィンスリーにあります。